ゆーめいくみーはっぴー!

しがない学生ジャニヲタの独り言

スメルズライクグリーンスピリット

今回は所謂読書感想文です。
ネタバレ満載なのと、読んだ本が商業BL漫画に区分される作品なので、苦手な人は読まない方が良い記事です…。




スメルズライクグリーンスピリット

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http://www.amazon.co.jp/dp/4893938061www.amazon.co.jp

“オレたちの夏、夢はキラキラして、まぶしくて、切なかった。"

そこは山と畑に囲まれたド田舎の片隅。
2人は出会い、傷付き、そして現実を知る。
この世界のどこかで“本当の自分"でいられる場所を求めた少年達の、
今、一番伝えたい青春ストーリー。

◆あらすじ◆
ド田舎に住む学生、三島(みしま)はクラスメイトの男子からイジメを受けていた。理由は三島が“ホモっぽい"から。実際に男性が好きな三島は抵抗するすべもなく、隠れてする女装だけが心の拠り所となっていた。ある日、三島がいつもの様に屋上で1人の時間を満喫していると、自分が以前なくてしまった筈の口紅を持ったイジメグループのリーダー・桐野(きりの)を目撃してしまう。彼はこっそりと三島の使った口紅を自らの唇に塗ろうとしていたのだった……。

 紹介文とあらすじはAmazonさんの方から引用させていただきました。

 さて、この作品、えげつないくらいに泣いたし、沢山色んなことを考えました。BLという括りでおさめてしまうのはちょっと勿体無い作品でしたね。
 BLに主題が置かれているというより、もっとゲイである辛さや、そのことで生じる周囲との問題の方に主題が置かれているのかも…?


 で、私が一番読んでて辛いな、と感じたのは田舎の陰湿なコミュニティでしたね。
 私の地元がそうだったんですけど、田舎の噂話って、それが下品だったりスキャンダラスであればあるほど尾ひれが付いて広まっていくんですよ。そして、「見た目が派手」、「家庭が特殊」、田舎によくいる権力者に対して「反抗的」な人たちを共通の敵に仕立て上げて、何かあればすぐに「あの家の○○さんったら…」ってまた噂話の種にするんです。で、そんな田舎の嫌なところに捕まってしまったのが主人公たち三人なんじゃないかな~って思いました。抱き合っただけ、キスをしただけで噂はどこまでも広がって子供の世界にまで影を落としていく。ああ、私、田舎のこういう所が大嫌いで毎日苦しかったなあって思い出しました。
 でも、三島も、桐野も、夢野も、その影に屈することがなかったのは彼らの強さだなって。強くないと、たぶん途中で心が折れていたと思うし。
 噂話なんて不確かなもの一つで、口先からなんの責任もなく放たれた言葉なんていうふらついたもの一つで、簡単に子供の世界も大人の世界までもが変わっていく。田舎の、いや、日本の集団意識って怖いなあ。


 あと考えたのはやっぱり、人を愛するということ。
 この作品、全二巻なんですけど、その中で全部形の違う「人を愛すること」が出てきます。そしてその愛たちは共有されたり、受け入れられたり、理解のために努力されたりしますが、一方で拒否され、諦められ、更には「病気だ」と決めつけられるものもあったり…。私は、一冊読み終わる頃には、人を愛するって本当はどういうことなんだろうってそればっかり考えてました。
 まあ、答えは当然出てないんですけど、別に答えを出すことでもないかなって。愛に答えなんてないし、たとえ答えを見つけたところでそれは、私の答えであって世間の全ての人たちがその回答に当てはまるなんてありえないし。それに、同性を好きになることについて恐らく一番考えたはずの夢野が、三島に対して「好き」だとか「愛してる」だとかって言葉を使わないで「これからもお前のこと考えていきたい」って言った所で、彼も、愛することに対して答えは出なかったけど、今自分が抱いている感情は確かに「愛」で、大切にしないといけないものだって気づいてるんじゃないかなっていう小さな期待込みでも、答えは要らないかなって思った次第です。



 同性愛に関しては、いくら考えてもやっぱり、これっていう答えは出ませんでした。
 だって、誰が誰を好きだっていいじゃん。周りがそれに口を出す権利も、嫌悪していい理由も、迫害していい理由も何一つないじゃん。もっと言えば好きなら好きでいいんだって。無駄に肩身狭くしてる理由だってないじゃん。って、私はずっとこう考えてきたので、今更この考え変わるわけもないし、変える必要も見つかりませんでした。
 でも一つ思ったのは、もっと「好き」に寛容な世界になればいいなあということ。同性を好きなことが微塵もいけなくないことだとしても、当人たちはずっとどこか後ろめたい気持ちは残るのだろうし、私一人が寛容であったところでそんなの高が知れてる。だからこそ、もっともっと世界が愛の形に寛容になってほしいと思いました。

 読んだ時の衝動に任せて書いてしまったので答えの出ないことも多かったし、考えれば考えるほど次々涙が出てくるのでここまでにしますが、いつか読み返したときにはもっとしっかりした感想が書けるようになりたいです…笑